半値八掛け
もう数年前の事だろうか。
あるお客さんからこんなことを言われた。
『アンタの会社は儲かり過ぎや。やから、半値八掛でウチにくれ。』
確かこのお客さんは香川大学出身で元研究者。何を研究していたかは
知らない。しかし、今はネットビジネスで雑貨を売っている。
簡単に言えば4掛けで商品を出せと言う事だ。
ウチの会社からすれば、ちょうど仕入れ値ギリギリくらいだろうと
思う。このお客さん、いいとこ見ているなぁ。と思っていたのだが
結局7掛けくらいで購入してもらった。
そしてリピーターになってくれ、度々購入してはくれるが価格には
非常にうるさい。そして『アンタんとこのせいで倒産するところ
やったわ』なんて話しを毎回される。しかし結局7掛け~6掛けくらい
で購入してくれる。特に儲かっている会社でもないので積極的に営業に
出かける訳ではない。しかし、毎度このお客さんの考えていることは
何となくわかる。共通の趣味があったのも大きい。
クルマが非常に好きなこのお客さんは、メルセデスユーザ。ディーゼルエンジン
を載せたメルセデスは当時数少なく、珍しいものだった。ここから話は弾み
気が付くと1時間ほどが経つことも少なくない。様々話をしていると、数日で
発注のFAXが届いているのである。因みにクルマの購入方法はリース。
ケチなのかもしれないが、個人経営なので償却方法を話できるだけの営業マンに
ならなければならない。もちろんBtoBではあるもののSOHOである為、個人の
お客様に近い。僕自身、与信に気をつけておりリースが通ることの意味を理解して
いた。社内営業も兼ねて、このお客さんとの継続取引の稟議を書くのであった。
結局のところ、半値八掛で出荷してもいいと僕は思っている。しかし、本当に
出したところで今後のメリットは何なのかを考えなければならない。1回しか
購入しないお客様に、4掛けで販売して小さな利益を出しても安売りしか出来ない
ので、会社としてもデメリットしかない。(意外と安値で出すと情報は広まる)
であれば、高級ブランドに身をまとう方が良いと思うである。
正直僕は儲けていた。自分の担当地区ではあり得ない高利益率を出していたのだ。
それは、付いてきてくれるユーザーが居てのことである。どの企業も会社のカネ
だから気にせず購入している。しかも見た目(ブランド力)が良いほうが良いに
決まっている。であれば、一見さんなのか長期目線で見たほうが良いユーザー
なのか・・・もしかすると自社製品の卸売りをしてくれるユーザーなのか・・・。
様々なことを考えながら営業しなければならない。
因みに僕はある卸売り業者に言ったことがある。
『多く売る=安値で提供する』
ではないんです。
『安値で提供する価値がある=安値で売る』
んです。
と言った。最初は意味が分からなかったそうだが、僕はアフターサービスや
事前の打合せなど、商品以外の価値も価格に載っけて価格を決めている。
だから、間に入る卸問屋が全てをやってくれるなら、安値で提供しているのだ。
営業ってそんなもんだと思っているのですが、高飛車なんでしょうかね?
。