オイラの最近思うこと

地元企業の社長を支える陰の参謀。

多様化ってほんと?(音楽の観点から)

食の多様化・ライフスタイルの多様化・メディアの多様化などなど・・・。何にでも多様化で説明を付けてしまっている事柄が非常に多いような感じる。多いと言うよりもむしろ違和感があるのは私だけなのだろうか。

  • 音楽の多様化

 確かに戦後から盛んにジャズをはじめとする欧米からの洋楽が入ってきた。それを取り入れ、更にフォークソングなどを複合的にミックスしたものが日本版になったのがJ-POPであろう。J-RAPやJ-SOULなど、ブラックミュージックが日本版に変化したものも含まれている。しかし考えてみれば70~90年代の音楽にもtrfに代表される『小室ファミリー』に音楽にはラップ部分やDJミュージックも入っているし、和田アキ子の時代からソウルミュージックは入っているのである。きちんとした検証をすると、多様化だけでは成り立たない。

 聴き方の多様化の面から考えてみる。先日のニュース記事で『無料でも音楽を聴かない』というタイトルがあり、少々驚いてしまった。以前にユーチューブに代表される新メディアに取られているのだ、とする記事を書いたことがあるからである。私自身は、聴き方の多様化がCD不振の理由だと思っていたのである。ところが、新たな調査によると、そもそもCD不振ではなく音楽不振なのだと言う。

  • 多様化が説明しやすい

 確かに音楽そのものに興味がない人が増えているようで、気づけば音楽番組も減っているように感じる。儲からないものに投資をしないのは当たり前の事なので、仕方がないのだろう。ところが、テレビを視聴する人も減ってきており『オンデマンド配信』で番組を再視聴しやすいように配慮するなど、テレビ局各局は視聴率(と言うよりも正確には新たな利益づくり)を増やすことに躍起となっている。オンデマンド配信によって、インターネットでの番組視聴をすれば広告を流すこともできるし、広告を流せば一定の収入を得ることは十分に可能である。

 テレビ番組についてはまだまだ調査段階の為、オンデマンド配信がどれだけのテレビ局へのプラスへ転じるのかは不明瞭なところがある。ここでいつでも気軽に見ることが出来ることができるメリットがあることで再生回数が伸びるのであれば、多様化で話は簡単だ。しかしながら、説明がつかない部分も多いのが事実である。

  • サブスクの失敗

 グーグルミュージックにやラインミュージックに代表される『サブスクリプション配信』が日本でも始まった。しかしながら、順調とは言えないらしく日本ではまだまだこれからのところらしい。CDレンタル市場が最も活用されている国が日本であり、少し他国とは異なる部分があるのかもしれない。面白いことに、未だに日本で最も人気があるのはレンタル産業なのである。日本はダウンロード市場にまだまだ消極的であり、コピーを恐れている様なのである。コピーはCDであってもコピーをされるわけで、突破する技術は何を施そうとコピーをされるものなのだ。それよりも、有料コンテンツとして利益を少しでも取ることが出来、コピーを取られないサブスクリプションとして配信するほうが良いと思うのは著者だけなのであろうか・・・

  • テレビと広告と音楽業界

 映像コンテンツや広告ビジネス、音楽業界は密接な関係にあることは確かである。CMによって火が付く音楽もあり、映画によって火が付く音楽もある。そしてアーティストは売れていく。そして売れていく過程にはコピーを取られることもあれば、無料での視聴をされることもあるであろう。ラジオから流れる音楽もあるかもしれない。最も、耳にする機会がないにも関わらず売れる曲は極限られた曲だろう。

  • 極限られた曲の存在

 著者の言うところの『極限られた曲』と言うのは簡単な話で、AKB48グループのような曲の事である。ほぼプロモーションも必要なく、とりあえず出せば特典によってコンプリートしたいという欲に駆られてCDを購入する。よって、CDの購入枚数を劇的に増やすことが出来る。特に皮肉として言っているのではなくて、著者自身も一つの手段だと思っている。これが出来るまでの努力は非常に過酷だったことが良く分かるからである。

 この方法を取ることが出来るまでには、ある程度の知名度が必要であり、特定のファンを多く有し、それなりにお金を持っているファンが必要である。ファンそのものを疑似恋愛に持っていくだけの魔力が必要なのである。

  • 結局のところ多様化ではない?

 結論に持っていくのがやや乱暴なので、今後も注視たいと思っている分野であるが、少なくとも音楽メディア業界に関しては多様化の一言で済ませるのはいい加減過ぎると思っている。多様化と言っても一様ではなくて、聴き方の多様化(CDからMP3プレイヤーへなど。)やアーティスト性の多様化(ロック・J-POP・RAP・海外勢など広がっている)の多様化もあるだろう。そして、プロモーション方法の多様化もあるだろう。最近も『USENから火が付いた』と言う言葉がある様に、曲が売れるには何かしらの着火剤が必要になる。『メガシャキ』(ハウス食品)のCMソングから火が付いたゴールデンボンバーの様に無名から爆発的ヒットを引き起こす場合も未だに数多くある。宣伝方法は多種多様でそれは今に始まったことではないと著者は考えているのである。

 つまり、馬鹿正直に話せば理由は『分からない』と言う事になる。複合的要因が重なり合って起きていることは間違いがないのであろう。しかしながら、ダウンロード数が爆発的に伸びているかと言われるとそうでもない。そしてCDは減産傾向。ジャケット効果で少しだけLDレコードが復権。非常に複雑であることは確かなのだ。

  • 結びとして

 残念ながら答えを導き出すことは出来そうにない。若者の音楽離れが叫ばれる記事も出てきているのだが、未だにカラオケ店などは満室のことが多くある。そして、カラオケ店でのランキングを確認してみると最新曲がほとんどランクインしていない。こうした現状を踏まえると現代の曲は歌われ辛い歌になってきていると思われる。その昔、といっても小室ファミリー時代だが、カラオケが一大ムーヴメントとなった際に「歌われる歌こそ売れるんだ」と言われていた時期がある。今もまさにその過渡期ではないかと思う。カラオケ文化と同じで、歌は親しまれてこそヒットするものなのだと思う。これは著者の勝手な想像であるが、ランキングを付けることがもはや出来ない程に音楽を入手する手段が増えている昨今、音楽を配信する側でコントロール出来なくなっているのだろう。つまりレコード会社やプロモーション会社の主導ランキングを作ることが出来なくなっている。寧ろユーチューブなどにアップされるアカペラソングやストリートライブから火が付く歌手も出てきている様だ。再び『みんなでうたおう!』の力が強まってくる時代が来ているのかもしれない。