オイラの最近思うこと

地元企業の社長を支える陰の参謀。

本来のクルマに求めるもの

自動車じゃない人からすれば、自動車産業が開拓してきたニーズはずれているのかもしれない。正しく言い直せば、ニーズは求められるものであるべきで、開拓すること自体は間違えている。ただし、開拓ではなくて存在価値を作ることは間違えていないと思う。

営業職の方、とりわけマーケティングにかかわる方であれば分かると思うが、ニーズは作るものではなく生まれるモノである。

 

その点、今のマツダなどは正しい選択をしてきているのではないだろうか。そして、富士重工のやり方はニーズに応えている。

 

私個人の意見では、スバル車に求めるものは走る楽しさである。簡単に言えばセルを回して楽しくて、走って楽しく曲がって楽しい。そしてブレーキングも楽しいクルマ。水平対向エンジン独特のエンジン音も楽しいのである。音楽なんて不要。そんなクルマがスバルなのである。ところが今は、ぶつからないクルマ作りに勤しんでいる。そこばっかりがフューチャーされ始めているし、確かにすごい技術であるがスバルの有頂天はそこではないのである。本来はエンジンの楽しさを求めて欲しいのだ。(ある意味では燃費を気にする車ではない)

数か月前から始まったWRXS4シリーズの大人なセダンのイメージはばっちりだと思う。28歳の若造が買うクルマではないと思うが、何故か欲しくなってしまうクルマなのである。少し背伸びした、でもオシャレ。内装、外装共にディーラーまで見に行ったが、シックなデザイン。悪く言うと何にもいいところがないのだが、作りに関して文句はない。上級グレードなはずなのにベーシックなラインを越さないところが何故かいいと感じるのだ。

大してマツダ車に関して言えば、スポーツカーをメインにうまく組合せが出来ている。デミオというコンパクトカーに至るまで走りにこだわっている風なのだ。軽い車体にそこそこのエンジンを乗っけてくる。軽いが故に良く走るクルマだと感心させられる。一時期気になっていたスカイアクティブになり立てのエンジンだった時にあった、0スタートからの弱々しさも改善されている。馬車一体という言葉がふさわしいクルマ作りを始めてくれたのは本当に1自動車ファンとしてうれしい限りなのだ。

 

と・・・2社に関していいことを言ってきたが、他メーカーはどうだろう。

トヨタに関してはプリウスシリーズやヴィッツ・アクアなどなど未だに人気車種が多くあり、中古車市場でもしっかりと高値で推移している。そして、シリーズのレンジが広いこともあって、商用バンからコンパクトカーまでオールマイティに取り揃えている。そこから選ぶのだから売れて当たり前の世界だと思ってしまう。

 

ホンダも一時期のスポーツ仕様から離れ、環境への配慮へシフトチェンジした。これが今までのホンダファンを話していないのかが危惧される。F1のイメージが鮮明な人からすればハイブリッドカラーを全面に出す戦略は間違いかもしれない。しかしながら、オデッセイに代表されるファミリーカー市場では一番上手なクルマ作りが出来ていると思う。

 

日産の様に合理化を進め上手く生き残るのも一つの手であろう。昔のように大排気量のエンジンを積むスカイラインシリーズを頭にするのではなく、欧州のクルマの水準でプラットフォームを作り、日本版として出すのも利益を出す企業としては大正解である。また、最近セレナを運転する機会があったが、あの安定性を、あの価格のファミリーカーで出すことが出来るのは日産独自だと思う。視線の位置や視覚の少なさ、加えて走行性能。モデルチェンジを長期にわたってしていないこともあり、内装面ではヴェルファイアやアルファードには勝てないが(もちろんアルヴェルは高級路線だが)それでも充分現代に通用している。

 

軽市場は論じる気はないのだが、ダイハツの元気の無さには驚かされる。車が売れるとか売れないではなくて、活気を感じない。アルトワークスの名を復活させて、MT車の価値を再開拓したスズキのような強気な戦略が欲しいところである。無論軽を軽視し始めているホンダ・マツダ・三菱にも同様の事が言えよう。

 

今後トヨタを中心とした大規模組織が出来るのではないか?

と市場ではささやかれている。スズキとトヨタが同盟を結ぶとの憶測もある中で、ダイハツのポジショニングをどこに持っていくのか。とりわけダイハツトヨタでタイアップして作っているパッソなど、(申し訳ないが)粗悪なクルマをどうするのか。内装一つとってもペランペランなクルマ作りは辞めていただきたいと願っている。

トヨタ×ダイハツ×スズキ×スバルという大組織のクルマ作りは愉しみなのだ。この4連合がどのようなクルマを作るのか?今後も業界から目が離せない。